割増賃金の未払いが生じないように、労働時間の把握を適切に行うほか、労基法上の諸制度を適用している場合は、その適用要件を満たしているか等の検討が必要です。また、定額残業代を支払っている場合は、判例を踏まえて法定割増賃金の支払といえるかの確認が必要です。
解説
労基法37条所定の割増賃金の未払いがあると、今後は、当面の間、最大で過去3年分、将来的には5年分の請求を受けることになります。訴訟になれば、割増賃金とともに、同期間分の付加金(労基法114条)の支払を命じられることもあり得えます(付加金の額は、最大で判決で認容された割増賃金額と同額)。
高額な請求が判決で認容された場合は、経営への影響も大きいですから、そもそも未払いがないようにすることが重要です。
そのためには、改めて、①労基法上の労働時間性を理解の上で、②労働時間の把握を適切にすることが必要です。
次いで労基法の定める③弾力的労働時間制(変形労働時間制、フレックスタイム制)、④特別規制(事業場外労働、裁量労働制)、⑤適用除外制度(管理監督者)を適用しているならば、その適用要件を満たしており法的効果を得られるかの確認が必要です。
そして、⑥定額残業代を支払う場合は、法定の割増賃金の支払と認められるかを、判例に照らして確認することが必要です。
以下のQで、それぞれのポイントについて解説します。
(荒川)